流行りのRyzenを使って高性能かつ格安のPCを作る

高性能・格安・省スペース・エコ・静音のPCを作る!

よく皆様から、安いけど高性能なPCを作れないかと相談を受けます。まずDELLやHP、マウスコンピューターなどのメーカーのPCが候補に挙がるのではないでしょうか。

でも、希望のスペックと予算がうまく合わず困る場合があります。PCを自作すれば問題ありませんが、最近は仮想通貨の影響でグラフィックボードが高騰して予算オーバーになったり、省スペースPCケースだと物理的な制限が多くてどうすればいいかわからないなどの問題があります。

今回、弊社で新しいアルバイトさん用のPCを作るので、今(2018年8月現在)ではどこまで格安で、買い物に行くことなく、高性能省スペース静音エコPCを組めるかを試してみます。

どのようなPCを自作するか条件を決める

条件を以下のように設定してみます。

  1. PC本体のみで8万円(税込み)以下。
  2. 中程度の高性能PC。インテル製でCore i5-8400程度。
  3. 3Dゲームでドラクエ10かオーバーウォッチくらいのゲームをしたい。NVIDIA GTX1030程度。
  4. HDDは使わず、SSDを使って高速に。容量は500GB以上。
  5. メモリは8G以上。
  6. 省スペースのPCケースで、できるだけ省エネルギーで。
  7. 静音タイプ。うるさいのは許さない。

結構わがままな設定ですね。既製品のPCではまず達成不可能です。Windows10はライセンスを持っているため省きました。Windows10をお持ちでない方は別途必要になります。

まずPCケースから選んでみる

予算上、安いから値段相応のチープなケースで良いと言う人もいるかもしれませんが、アルミ製で高そうかつ奇抜なケースにしてみたいと思います。

9500円(税込み)、予算ギリギリですが、形状がアップル社に喧嘩売っているみたいでいいですね。

これがMac Proの本体。ゴミ箱のような形状が話題になりました。

朱鼓(あかつづみと読む)のケースは、対応マザーボードがMini-ITXとなっています。かなり小さいサイズのマザーボードしか入りません。マザーボードを決める前に、CPUを決めましょう。

CPUは価格の下がったRyzen5 2400Gに

予算がかなり低いので、別途グラフィックボードを購入するのは難しいです。条件でCore i5-8400程度と書いているんだから、素直にCore i5を調べると、


Core i5-8400が2万円を切ったということでかなり良いんですが、今人気のAMD社のRyzenではどうでしょうか。

これも安いですね。

Core i5-8400とRyzen5 2400Gは速度はほぼ互角(ちょっとCore i5が有利)。でもRyzen5のほうはAMD社のRADEONのグラボが入っているようなものでGTX 1030程度の性能があり、Core i5-8400のグラフィック機能よりも少し高性能。条件に合ったゲームもできるのでRyzen5 2400Gに決定します。

Ryzen対応のMini-ITXのマザーボードを選ぶ

CPUがRyzen5に決定したので、Ryzen対応のマザーボードになります。また、PCケースがMini-ITXしか対応できないので、小さいMini-ITXマザーボードを選びます。

GA-AB350N-Gamingなら「Amazon’s Choice」なのでコスパ良いですし、売れ行きが良いので古いものでは無く、新しいRyzenに対応してそうです。Ryzen対応とも書かれていますので、BIOSが古くて対応してないとか無さそう。

今回は使いませんが、WIFI対応なのもいいですね。付属のアンテナを使えば、有線ケーブルではなく無線LANでの使用も可能です。

電源はSFX電源で奥行きに制限があることに注意!

ここから慎重にならないといけません。なぜなら、ちゃんと選ばないと「PCケースに入らない」ということが起きるからです。

朱鼓のページにある「SFX電源(奥行100mmまで)に対応」に注目です。通常の自作PCでの電源はATX電源。SFX電源は、小さいケース用のかなり小さいPC電源です。しかも「奥行き100mmまで」となるので注意!これ以上のサイズの電源は、PCケースに入らないのです。

このSFX電源のサイズは125(W)×63(H)×100(D) mm、つまり奥行きはギリギリOK!これ以上は入りません。

性能の良さと、出力450Wというのが丁度良さそうなのでこれにします。600Wだとオーバースペックかと。

CPUクーラーは要注意!高さは57mm以下が必須条件!

初心者の方が後悔するポイントがCPUクーラー。Mini-ITXのPCケースだとクリアランス(パーツを入れる空き空間)の広さがかなり狭くなるのを調べずに、自分の好きなCPUクーラーを買ってマザーボードに付けてから「入らない!」と気付いて、8千円くらいのCPUクーラーを無駄にするということが多々あります。

実は朱鼓というPCケースは、SFX電源を入れるとあと57mm以下しか高さがありません。つまりCPUに付属する標準のCPUクーラーは使えません。別途購入する必要があります。

このCPUクーラーなら高さが47mmなので入りそうです。評価も高く静音なので良さそうですね。

メモリは高速PCのために最低限の8GBに

メモリもAmazon’s Choiceの商品のメモリにします。

DDR4-2666MHz

このメモリの黒色がAmazon’s Choiceのメモリになります。赤だとちょっと高い。でも赤いケースなので赤いメモリにします。実際は表から見えないので意味ないんですけど。

AdobeのPhotoshopや動画編集などを行うならメモリを16GBにしたいのですが、費用の上限を決めたこともあり8GB(4GBx2枚)までにしておきます。マザーボードにはメモリ2枚しか入らないので、16GBにする場合は、最初から8GBx2枚にしたほうが良いです。

SSDは品質の良いものを

超高速ではありませんが、M.2なのでそもそも高速ですし、WD製なので安定していて良いです。

組み立て開始

選んだパーツを並べてみました。総額7万5千円ほど(税込み)。わざわざ秋葉原に行かなくても全部Amazonで購入できました。しかも1日で届きました。Amazon’s Choiceが結構入っているので、秋葉原で購入するよりも安く済んでいます。

PCケースを開くときは気を付けてください。赤い塗装に傷が付きやすく、空けるときに側面カバーがポーンと飛ぶので、飛んだら確実にカバーの塗装が少しはげますので、飛ばないように押さえながら慎重にカバーを外してください。

ちなみに私は少し側面カバーに傷を付けてしまい、少し塗装をはがしてしまいました。

CPUを取付ける

Ryzen対応のマザーボードですので、ちゃんとCPUを取り付けられました。ソケットのレバーを上げて、CPUの裏の小さい三角をソケットの左下にある小さい三角に合わせてはめ込み、レバーを倒してロックします。

CPUクーラーを取り付ける

かなり難易度高いです。CPUクーラーはインテル製もAMD製も使えるようになっているので、今回のようなAMD製のCPUにCPUクーラーを取り付けるにはしっかりマニュアルを読みながら進める必要があります。

まず、下の部品を取り外すことから始めます。今回のCPUクーラーの場合ですと、8mmの薄いスパナが無いと外せません。あらかじめスパナセット(薄型)は用意しておいて下さい。

最初、アームがこんな感じになっています。これはインテル製CPUの場合ですので、アームの角度を変更しなくてはなりません。

こんな感じでアームの角度を変えます。あと指定された穴にパーツを取り付けます。マニュアルを確認して進めて下さい。

CPUクーラーに貼ってあったフィルムをはがし、CPU(Ryzen)の上にグリスを塗り(CPUクーラーに付属していると思います)、いよいよマザーボードにCPUクーラーを載せます。

CPUクーラーのケーブルをマザーボードの端子に差し込むため、CPUクーラーを載せる向きを間違うとケーブルの取り回しが難しくなります。気を付けてください。

慎重にマザーボードを裏返して、裏側にプレートを置きます。インテル製とAMD製だと裏表が違いますので、今回はAMD製ということで「a」と書かれた面を上にしてCPUクーラーのパーツが飛び出ている箇所に穴を合わせて、ナットを付属道具を使って回して固定します。

メモリと取り付けて、マザーをPCケースに装着

メモリを2枚ともマザーボードに取り付けます。

見づらいですが、写真の上部のようにメモリをセットします。ちゃんとカチッと鳴るまで押し込みます。

M.2のSSDを取り付ける

今回のマザーボードは、M.2のSSDは裏に取り付けます。マザーボードを裏返して写真のように取り付けます。

写真のSSDの右にある小さいネジは、マザーボードに最初から付けられていますので、いったん外してからSSDの上から再度取り付けます。確実にSSDを固定してください。

マザーボードにケーブルを取り付ける

SFX電源とマザーボードに付ける2本の電源ケーブルをマザーボードの所定の位置に取り付けます。あと電源スイッチ、リセットスイッチ、パワーLEDとハードディスクLEDのケーブルもマザーボードのF_PANELに取り付けます。

今回はM.2のみでハードディスクなどの他のドライブを取り付けませんが、今後取り付ける予定がある場合は、あらかじめSATAケーブルを取り付けてマザーボードの裏側に回して固定しておくことをお勧めします。なぜなら、いったんSFX電源をセットすると外すのが大変だからです。

この電源ケーブルには気を付けてください。両端とも同じように見えますが違いますので。

このCPUと書かれている方はマザーボード側に取り付けます。

こちらは後程、SFX電源側に取り付けるほうです。これを間違えると結構痛い。SFX電源を外してまたケーブルを挿し直すことになりますので注意して下さい。

SFX電源を取り付ける

これからMini-ITX用のPCケースでパソコンを作る上での地獄が始まります。PCケースを壊したり側面カバーに傷をつけたりしないように注意してください。難易度は最高レベルです。

 

ケーブルをうまく取り回しながらSFX電源を取り付けます。

見てください、この狭さ。CPUクーラーとSFX電源の間が1センチもありません。あまりに狭いと空気の流れが悪くなりPCケース内に熱がこもるかもしれません。

この後、先ほどの2本の電源ケーブルをSFX電源に差し込みます。

PCの起動チェック

うまく取り付けられましたら、PCの起動チェックを行います。

起動しなかったらまたPCケースのカバーを外すことになるので、開いた状態で起動チェックしてください。画面に表示されたらF2キーかDELキーを押してBIOS画面を表示させます。

ここで「あれ?SFX電源のファンが回ってない。故障か!?」と思われるかもしれませんが、多くのSFX電源は静音のため55度を超えると回りだすものが多いので故障ではありません。

無事起動しましたら完成です。

ここから先は、Windowsをインストールし、そのあと、マザーボードのメーカーサイトから必要なドライバやユーティリティをインストールします。

ネットからダウンロードするドライバインストールが難しければ、USB接続のDVDドライブを接続して、マザーボードに付属しているドライバDVD-ROMからインストールしてください。

これで完了です。7万5千円(税込み・OS別)でコンパクトな高性能PCが完成しました。お疲れさまでした。

坂田コウイチ

パソコン教室スタディPCネットの株式会社ICT代表取締役。
IT関連のプログラミングおよびグラフィックデザイン全般。
マクロメディア社(現アドビ社)の最初のDirector公認講師。
マルチメディアスクールWAVEの創業者。

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